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表とグラフで見る3つの知能遺伝子の人種・民族別分布

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表とグラフで見る3つの知能遺伝子の人種・民族別分布© unknown


[世界発] 2月掲載の記事で、欧米豪の白人を対象としたゲノムワイド研究から3つの知能遺伝子が特定されたことをお伝えしたが、同研究では人種・民族別にみた知能遺伝子の分布等についてはいっさい論じられていない。そこで、今回はそれについて独自に分析してみた。

まず最初に、知能遺伝子として特定された3つの一塩基多型(SNP)の属性について簡単にまとめておこう(表1)。

表1 3つの知能遺伝子の属性
番号SNP識別番号ヒトゲノム上の位置近傍の遺伝子対立遺伝子(アレル)
野生型変異型
1rs93209136番染色体LOC100129158CA
2rs115847001番染色体LRRN2AG
3rs48512662番染色体LOC150577CT
出典:Rietveld, et al. (2013)


ご覧のようにこれらSNPはそれぞれ別々の染色体上に位置し、近傍の遺伝子も異なっているが、ここで問題となるのはSNPの対立遺伝子(アレル)。DNAの塩基にはアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)の4種類がある。アレルには野生型と変異型の2種類があり、ゲノムワイド研究から知能に貢献するのはどれも変異型であることが判明している。

一方、知能指数(IQ)に人種や民族間で差異があるのはよく知られた事実である。だとすれば、研究結果から鑑みて民族のIQと変異型アレルの頻度は相関するはず。つまり、民族のアレル頻度が高ければ高いほど、IQも高くなるはずなのだ。はたして、実際のところはどうなのか?

これを探るべく筆者が利用したデータベースは、現段階で世界の26民族2504人のゲノムが公開されている「1000 Genomes」。以下は調べた結果を表とグラフに表したものである。民族は5つの人種グループに分かれている。

表2 世界26民族のアレル頻度とIQ
IQ人種・民族アレル頻度(%)
rs9320913_Ars11584700_Grs4851266_T
アフリカ人
80  バルバドス・アフリカ系16510
85  アメリカ・アフリカ系2378
71  ナイジェリア・エサン族 1964
62  ガンビア・マンディンカ族1483
74  ケニア・ルーヤ族1547
64  シエラレオネ・メンデ族2469
71  ナイジェリア・ヨルバ族1965
ラテンアメリカ人
83.5  コロンビア411024
88  アメリカ・メキシコ系281033
85  ペルー20336
83.5  プエルトリコ421328
東アジア人
-  中国シーサンパンナ・タイ族443249
105.5  中国北京・漢族443156
105.5  中国南部・漢族402857
105  日本353852
94  ベトナム・キン族453162
ヨーロッパ人
98  アメリカ・ヨーロッパ系502141
97  フィンランド532835
100  イギリス492743
97  スペイン512236
97  イタリア511737
南アジア人
81  バングラデシュ292514
82  インド・グジャラート人332932
82  インド・テルグ人182724
84  パキスタン・パンジャブ人242231
79  スリランカ・タミル人212422
出典:IQはLynn & Vanhanen (2012)、Lynn (2006)より、アレル頻度は1000 Genomesより抽出。


表2は各民族の平均IQと3つの知能遺伝子のアレル頻度をまとめたもの。ざっと見た感じ、IQ同様、どのアレル頻度にも民族によってかなりのバラツキがあることがわかる。しかし、表からだけではIQとの関係が把握しづらい。そこで、横軸にアレル頻度、縦軸にIQをとった散布図を描いてみた(図1〜3)。


図1 SNP(rs9320913_A)のアレル頻度とIQ図1 SNP(rs9320913_A)のアレル頻度とIQ注)中国シーサンパンナ・タイ族は、IQが不明のためここには含まれていない。
出典:表2より作成。以下同様


図2 SNP(rs11584700_G)のアレル頻度とIQ図2 SNP(rs11584700_G)のアレル頻度とIQ


図3 SNP(rs4851266_T)のアレル頻度とIQ図3 SNP(rs4851266_T)のアレル頻度とIQ


このように数値をグラフ化すると、アレル頻度とIQが予想通り正の相関を示していることがわかる。アレル頻度が高い民族ほど、IQが高い傾向にあるのだ! 5つの人種グループで見た場合、アレル頻度が最も高いのは東アジア人とヨーロッパ人。これに対し、アレル頻度が最も低いのはアフリカ人で、ラテンアメリカ人と南アジア人はその中間に位置する。ただし、SNP(rs11584700_G)に関しては東アジア人に続くのはヨーロッパ人ではなく、僅差で南アジア人である。

さらに、アレル頻度とIQの相関係数を求めてみると、それぞれ0.78、0.70、0.88と、いずれのSNPも強い相関を示していることが判明した(表3)。また、p値は全く相関のない数字を組み合わせたときにこれらのr値が出る確率を表したものだが、どれも有意水準の5%をはるかに下回っており、相関関係は統計的に有意であるといえる。

表3 アレル頻度とIQの相関係数とその有意性
SNP標本数(n相関係数(rp
rs9320913_A250.781.4×10-5
rs11584700_G250.702.1×10-4
rs4851266_T250.882.1×10-8
平均(entry-668-r.jpgFisher Z0.80
出典:表2より算出。


筆者による分析はここまで。以上の結果から言えるのは、白人サンプルのゲノム解析からあぶり出された知能遺伝子は異人種間の知能差をも説明できる可能性があるということ。これは言い換えれば、これらの知能遺伝子は白人のみならず全人類に共通する可能性があるということである。

また、この分析結果は知能が環境よりも遺伝に決定されることを示唆してはいても、それを証明するものではないことも付け加えておこう。理由は、数千個規模で存在するかもしれない知能遺伝子のうち、わずか数個を検証してみても答えは出せないからだ。さらに、SNPと知能の相関関係だけでなく因果関係も解明していく必要がある。例えば、日本人がアレル頻度でトップをきるSNP(rs11584700)の近傍の遺伝子LRRN2は、過去の研究から認知、中枢神経系機能、および健康にかかわっていることが判明しているが、このSNPがどのような形で知能に貢献しているのかはわかっていない。

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