[イギリス・アメリカ発] イギリス英語とアメリカ英語は語彙や言い回しが微妙に違う。例えば、アパートはイギリス英語ではFlat、アメリカ英語ではApartmentと言う。相手に「車持ってる?」と聞くときは、どちらでも意味は通じるものの、それぞれ「Have you got a car?」「Do you have a car?」といった表現が好まれる。
しかし、もっとも違いが顕著なのはアクセント(訛り)。アメリカ英語はhardやwinterなどの単語のrを発音するが、イギリス英語は発音しない。したがって、イギリス人は「It's been a hard winter.(厳しい冬となっています)」を「It's been a hahd wintuh.」のように発音する。
なぜ、英語のアクセントにはこのような地域差があるのか?
この疑問については、米ジョージア大学・英文学科のジョン・アルジオ名誉教授が自編著『
The Cambridge History of the English Language 』の中で解説している。
それによると、アメリカがイギリスからの独立を宣言した1776年ごろは、イギリス英語とアメリカ英語はまだ分岐しておらず、アクセントはほとんど同じだったそうだ。
しかし、そのころ、イギリス南部のロンドンやその周辺に住む上流階級の間では、アクセントに変化が生じていた。彼らは上記のようにrを発音しない――専門用語でこういった発音をノン・ロウティック(non-rhotic)という――英語を喋るようになったのだ。
当時、イギリスでは産業革命が進行中で、その結果、新興の富裕層が生まれていた。下層階級から成り上がった彼らは、自らを他の庶民と区別する手段を探し求めていたといい、ノン・ロウティックな発音は新しく得た地位を誇示するために使われるようになった。
アルジオ教授によると、ロンドン訛りの発音はやがて音声学者や雄弁術の教師の手中に落ち、彼らはその権威となったそうだ。音声学者らは正しい発音を決め、発音辞典を編さんし、そして、高額な個人レッスンを通して進取的な市民に上流階級の発音をたたき込んだ。
これら専門家によって磨かれた上品な話し方は徐々に標準化され、公式に
容認発音 (Received Pronunciation)と呼ばれるようになり、イギリス中に広まった。しかしながら、イングランド北部、スコットランド、およびアイルランドの人々はrを発音する伝統的なロウティック(rhotic)の英語を今でもおおむね維持している。
同様に、アメリカ英語の発音もほとんど変化しなかった。例外はニューヨークとボストンのノン・ロウティック・アクセント。アルジオ教授いわく、独立戦争後も、これらの都市は「英国エリートの最も強い影響下」にあったそうだ。
というわけで、英語のアクセントの地域差には、産業革命という歴史的イベントが背景にあったようだ。クイーンズ・イングリッシュの起源がロンドンの成金で、分家のアメリカ英語が本家のイギリス英語より古い英語だったとはちょっと驚きである。
VIDEO イギリス英語とアメリカ英語のアクセントの比較
ソース
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2012-10-07 23:02
トリビア
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このトピックってアメリカとイギリスの発音の違いを疑問に思った時
一番初めに知ることだと思います。