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デンマーク、祖国引き揚げの移民に奨励金10万クローネ(180万円)支給を決定

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デンマーク、祖国引き揚げの移民に奨励金10万クローネ(180万円)支給を決定© AP


[デンマーク発] 移民問題に悩む欧州諸国では、国民の右傾化が進み、近年、極右政党の台頭が目立つが、デンマークも例外ではない。同国では、ヴェンスタ・保守人民党による中道右派政権が2001年に誕生、今に至っているが、閣外協力しているデンマーク国民党(極右)の影響力が強く、外交・移民政策などでは極右的な政策を取り続けている(参照)。

イスラム系住民の急増がその背景にあるのだが、国民党は欧州で最も厳格とされる移民法の制定(2002年)にも加担した。現在、デンマークへの新規移住は事実上不可能と言われるが、その後も移民とその子孫の数は42万人(2002年、人口の7.7%)から53万人(2009年、10.5%)へ増加している(参照<p.67 annex 20>)。イスラム系は、主にトルコ、パキスタン、イラン、イラクからの移民で、おおよそ20万人(2005年)いると推測されている。

このような状況の中、デンマーク唯一の英字紙『The Copenhagen Post』の電子版9日付記事によると、政府は国内にいる移民についても奨励金を出すことで自発的な帰国を促す作戦に出たようである。以下は同記事の邦訳。


デンマークの社会に溶け込めない、溶け込もうとしない移民は、祖国に帰ればボーナスが貰える


デンマーク国民党は、「反社会的な」外国人にデンマークから出国させるため10万クローネ(約180万円)を支払うことの合意を確保し、反移民の立場を強化した。

現在進行中の予算審議で、政府に長年閣外協力している国民党は、昨夜遅くに(政府の)合意を取り付けたと発表した。

現在、難民や家族呼び寄せでデンマークにやって来た人々が母国に引き揚げた場合、帰還手当として2万8256クローネ(約50万円)を受け取ることができる。その内、1万1000クローネ(約20万円)はボーナスで、通常、受取人が帰国して1年後、デンマークでの居住権が失効した後に支払われる。

新しい取り決めでは、外国人が母国に帰還し、デンマークでの居住権を放棄すれば、ボーナスとして10万クローネが支払われるという。

政府、国民党共、何をもって「反社会的な」外国人とするのか、詳しく述べてはいないが、「溶け込めない、あるいは、溶け込もうとしない」外国人に狙いを定めていると話している。

国民党のピア・クラスゴー党首によると、この取り決めで、国家は地方自治体の運営コストに大幅な節約が見込めるという。

「おびただしい量の負担や問題から社会は解放されます。老人ホームや病院(の運営)、それに医療費に関しても問題があるのは周知のことです」とクラスゴー氏は言う。

この合意の一環として、外国人を母国に引き揚げる気にさせるための2000万クローネ(約3億6000万円)の資金プールに地方自治体はアクセスでき、現行では帰還に掛かる費用の75%しか地方自治体に払い戻されないところ、全額払い戻されるという。

しかし、野党はこのニュースに驚き、デンマークは外国人が国から出て行くことを望んでいるという明瞭なメッセージを彼らに送っていると非難している。

週末の討議では、国民党はさらに移民の取り締まりについても合意を得た。

国境でのパスポートの管理を向上させるため、盗まれた渡航文書に関するインターポール(国際刑事警察機構)のデータベースをチェックできるスキャナの購入費として、予算の1000万クローネ(約1億8000万円)が確保されたそうだ。


祖国に引き揚げる外国人に一人当たり10万クローネ支給するとして、資金プールが2000万クローネということは、外国人200人分の奨励金が確保されたということになる。しかし、国内に数十万人の移民を抱えていることを考えると、200人減ったところで焼け石に水。それとも、まずは小規模のパイロット・プロジェクトとして試運転してみるということだろうか?

日本円にして180万円の奨励金が妥当な額なのかどうかは、外国人の年齢や滞在期間、デンマーク経済に対する貢献度などで違ってくると思うが、それと同時に、受け皿となる祖国の社会や経済状況も帰国決断を左右するはずだ。祖国がイラクのように平和に暮らすことすらままならぬようなら、とてもその気にはなれないだろう。

また、クラスゴー党首が介護や医療のコスト削減のメリットに触れているが、この観点から見ると、まず追い出したいのは「反社会的な」外国人というより、労働力としては用済みで、今後、医療や福祉で税金を食うばかりの高齢の外国人ではないかと疑ったりもする。

以上、記事を読んだ感想を思いつくまま書き出してみたが、デンマークが導入しようとしている帰国奨励金制度は、調べて見ると1980年代にすでにドイツでも実施されていた。この制度のもと、移民25万人(そのほとんどはトルコ人)が母国に帰ったが、高い失業率など様々な理由で帰国者の復帰はほとんど失敗に終わったそうである(参照)。

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1件のコメント

[C419]

平成21年3月に日本が支給した日系ブラジル人帰国支援金は一人三十万円、世帯には最大六十万円だったのに比べ、
デンマークの帰国奨励金が百八十万円にもなるのは、それだけ母国の情勢が安定していない移民が多いという事なんだろうな。
これは母国が貧しい国だったら2年は働かずに生活できる額だ。
  • 2011-07-26
  • 釣本直紀
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