[イギリス発] サイコパス(精神病質者)と呼ばれる人々には、衝動的、不誠実で口達者、自己中心的で傲慢、良心や罪悪感の欠如といった特徴が見られるが、イギリスの研究班が彼らの脳の生体構造を調べたところ、脳の2つの部位をつなぐ重要な接続部に異常があることを発見した。
キングス・カレッジ・ロンドン、精神医学研究所のマイケル・クレイグ教授が率いる研究班は、DT-MRI(diffusion tensor magnetic resonance imaging、拡散テンソル磁気共鳴描画)と呼ばれる高度な脳走査法を使って、サイコパスの脳組織を普通の人々のそれと比較した。
実験群はサイコパスと診断された9人の男性。彼らは精神衛生施設を介して集められたのだが、殺人未遂、過失致死、連続強姦、不法監禁等で有罪判決を受けた過去がある。彼らの脳はDT-MRIを使ってスキャンされ、彼らと同じ年齢層で同等のIQを持つ9人の非サイコパス(対照群)のものと比べられた。結果は生物学的精神医学の専門誌『
Molecular Psychiatry』に発表された。
「The difference in a psychopath brain」by Reuters
チャートを使ってサイコパスの脳の神経回路について解説する
クレイグ教授それによると、サイコパスと非サイコパスの間では、
鉤状束(こうじょうそく、uncinate fasciculus)と呼ばれる大脳にある連合線維に大きな違いが見られたそうである。鉤状束は、側頭葉内側の奥に存在する
扁桃体(へんとうたい、amygdala)と前頭葉の一部で眼窩の上にある
眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ、orbitofrontal cortex)をつなぐもの。サイコパスの鉤状束は非サイコパスのそれに比べて十分に形成されておらず、例えるなら、穴ぼこだらけであまりメンテの行き届いていない道路のようなものだという。
さらに、サイコパシー(精神病質)の度合いが強い男性は、鉤状束の異常の度合いも強いことも判明した。

大脳の主要な連合線維を示した模式図。鉤状束は左下。扁桃体は恐怖、嫌悪、快楽などの感情に関り、眼窩前頭皮質は感情のコントロールに関わっているので、これら2つの部位がちゃんと接続していないと、問題を引き起こすであろうことは容易に想像できる。
つまり、この研究結果はサイコパスの反社会的で善悪の判断にとらわれない行動は、この脳の神経回路の異常が原因である可能性を示唆しているわけだ。
クレイグ教授も指摘する通り、今回の実験はサンプル数が小さく、この因果関係を立証するためにはさらなる研究が必要だが、現状では矯正不可能と言われるサイコパシーに、将来、治療法が開発される可能性が切り開かれたと言える。
ソース:
- Brains of psychopaths are different, British researchers find
- Scientists: 'Roads' linking crucial brain areas have 'potholes' in psychopaths
- The difference in a psychopath brain [動画]
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- 2009-11-04 21:52
- 人間学
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