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解離性健忘:職場のストレスが原因で、家族の顔を忘れた男

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[イギリス発] エセックス州コルチェスター在住のアンディ・レイさん(32)は、警察に勤務していた時、悲惨な交通事故や自殺の現場を目の当りにしてきた。それらの記憶に悩まされるようになった彼は、やがて離職。しかし、その2年後、神経衰弱になってしまった。

当時、アンディさんはスーパーマーケットで働いていたのだが、ある時、気分が悪くなって病院に出かけたそうだ。だが、そこに着いた時には、彼の妻ジョーさんと当時まだ赤ちゃんだった娘のクロエちゃん、そして自分の人生すべてを忘れ去っていた。

それから3年近くたった今も、彼は、ジョーさん(34)や3歳になったクロエちゃんが48時間以上彼の前から姿を消すと、彼女らが誰であるのか認識できない。

アンディさん曰く「私には2日間の記憶しかありません。人々が私と一緒にいる限り、彼らが誰であるのか知っています。けれども、私の過去は何も思い出せないのです」

「もし、ジョーが私の元から2日以上いなくなれば、彼女と道ですれ違っても、彼女が誰だか気付かないでしょう」

公園の管理人として働くが、仕事に出かける時以外は、決してアンディさんのそばを離れないというジョーさんはこう言う。「彼のことは前と変わらず愛しています。だけど、共に過ごした13年の歴史が消え去ってしまうというのはきついですね。

「まるで新しいカップルのように、アンディはもう一度私を愛することを学ばなければなりませんでした。私の手を握ることですら、6ヶ月も掛かったのですよ」

医師らはアンディさんを解離性健忘と診断した。これは、彼には中期記憶がなく、彼の結婚式の日、彼の娘が生まれた日、あるいは、彼の両親が誰なのかさえ思い出せないことを意味する。

歴史上の事件、有名人の名前、車の運転方法等、一般知識は多少まだ覚えているが、自身の人生の個人的な記憶はみな消し去られているのだ。

「不思議です。ヘースティングズの戦いが1066年に起こったことは知っていても、そのことを学んだに違いない学校については何も覚えていないのですから」と彼は言う。

警官として4年間勤務していたアンディさんだが、今は、万が一道に迷って家に帰れなくなった時のために、自分の名前と住所を書き込んだ紙切れを持ち歩かなければならない。

彼は、ヨットのインストラクターとして働いた後、2000年に警察に入った。

彼は同僚に人気があり、仕事も好きだったが、人々の悲劇を扱うことのストレスに悩まされ、殻に閉じこもるようになったという。限界に達したのは、列車に身を投げた10代少年の自殺の処理を命じられた時だった。

その後、テスコ(スーパーマーケットのチェーン店)の管理職に就いた彼は、以前よりも幸せそうに見え、クロエちゃんが生まれる前、2006年にジョーさんとついに結婚もした。

ジョーさん曰く「アンディはとても社交的で、自信にあふれ、前向きな人でした。警察を辞めた後、羽を伸ばす機会もあり、私達みんなが愛した昔のアンディに戻ったようでした」

だが、その喜びも長くは続かなかった。アンディさんは宅配便業者として自分の会社を立ち上げようとしたストレスから、以前患っていた心膜炎と呼ばれる心臓病を再発したのだった。

医者は彼に仕事を止めなければ死ぬと忠告したそうである。

数週間後、アンディさんはひどい頭痛と目眩に見舞われ、気分がすぐれず、医者に診てもらおうと地元の病院へ向かった。

「私が車で連れていくと言うと、彼は歩きたいって言ったんです」とジョーさんは言う。「私が思うに、彼は頭が痛くて、歩けば良くなると思ったんでしょう。彼は私にクロエといっしょに家にいるよう言いました。あとになって、病院に着いて診察を待っているところという内容のメールが彼から届きました」

しかし、早朝4時、彼女は病院からの電話に起こされる。自分が誰なのか、どうやってそこに着いたのか皆目見当もつかず、病院内を徘徊していたアンディさんが看護士らに発見されたという知らせだった。

「病院に行くと、彼は、まるで私が見知らぬ人であるかのように、けげんな顔で私を見つめました」と彼女は言う。「数週間、入院した彼を訪れるたび、同じようにけげんな顔で私を見ていました。

「私が誰なのか説明するんですが、病院の売店に行って帰って来ると、もう私のことを忘れてるんです。『私はあなたの妻で、私の名前はジョー』って、何度言ったか分かりません」

警察にいた時のストレスが引き起こしたトラウマのせいで、アンディさんの記憶は「消し去られた」と医師らは説明したという。この精神疾患は、戦場から帰還して数年たった兵士らも発症しうるそうだ。

専門家らは、家族の写真入りのメモリーカードを使うなどして、また、アンディさんに記憶の一助として毎日、日記を書くことを勧めるなどして、ゆっくりとしたペースで彼を支援していった。

彼は心打たれるある日の日記にこう書いている。「今日、クロエという名の小さな女の子に会った。彼女は私の8ヶ月になる娘だそうだ。前に会ったことは覚えていない。彼女の笑顔は最高で、とても嬉しく感じたが、とても悲しくもあった」

別の日には、彼はこうも書いている。「あの婦人、ジョーが今日、また来た。彼女はとてもきれいで素敵だ。だが、彼女が話す(昔の)ことは何も思い出せない」

数ヶ月後、アンディさんの記憶は48時間に伸び、彼は帰宅することを許された。しかし、夫婦が互いに違和感がなくなるまでには数ヶ月掛かったという。

「夫は、バスルームはどこか、台所では何がどこにあるのか、私に聞かなければなりませんでした」とジョーさん。「まるで新婚夫婦みたいなもので、アンディが私のそばでくつろげるようになるまで、しばらく時間が掛かりました。

「今は、彼のそばを1日以上離れることはありません。彼がクロエと私のことをまた忘れてしまうことを考えたら堪らないです。でも、たとえ彼がずっとこのままだとしても、私は彼を愛し、いっしょにいるつもりです」

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