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殺人鬼ゾディアックと容疑者を結ぶ「点と線」

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[アメリカ発] 前回に引き続きゾディアックネタである。筆者は、デニス・カウフマンさんがいったい何を切っ掛けに自分の継父、ジャック・トーランス容疑者がゾディアック・キラー(以降、ZKと呼ぶ)だと疑い始めたのか、非常に興味を持ってしまい、彼のサイトがないか探して見た。そしたら、ビンゴ!

地味なサイトなのだが、そこで彼は継父の生い立ち、母親の死に関する疑惑、継父を事件に結びつける数多くの状況証拠等を丹念に書き記していた。


疑惑の始まり

実録!!ゾディアック
それらの中で、今回は筆者が特に興味をひかれた部分を取り上げてみたいと思う。まず、デニスさんが継父を疑うようになった切っ掛けだが、『Case Reopened』というドキュメンタリー・フィルムを見てからだという。これは、米国の推理小説家、ローレンス・ブロック氏が専門家らの証言と再現映像を交えながらゾディアック連続殺人事件の真相に迫るというもの。日本でも『実録!!ゾディアック』というタイトルで販売されている。

2000年6月某日、彼はドキュメンタリーを見ていて、これまでの人生で理解できなかったことすべてが、突然つじつまが合うようになったという。また、ZKのプロフィールもそっくり継父に当てはまり、それが切っ掛けで継父がZKでないという証拠探しを始めたそうである。1つでもそのような証拠が見つかれば、そこでストップするはずだったのが、探せば探すほど、継父とZKが結びついていったそうだ。


状況証拠

デニスさんのサイトでは、最近出てきたという黒頭巾、血痕(らしきもの)がついたナイフ、未現像フィルム等の「物的証拠」については現在のところ触れていないが、筆跡の比較や、継父との事件に関する電話での会話については詳細に書いており、その他ありとあらゆる状況証拠も列記している。

例えば、ZKが犯行に使ったとされる車種は、ルノー・カラベル(ホワイト)、シボレー・インパラ(ツードア、ライトブルー)、シボレー・インパラ(ホワイト)と犯行現場により異なるが、継父もそれら犯行と同時期に全く同じか酷似の車種を所有していたことを、証拠となる写真を添えて指摘している。

また、ZKに殺された疑いがある被害者の1人に、1970年9月6日行方不明になったままのドナ・ラスさん(当時25)がいるが、彼女と継父につながりがあることも分かっている。事件当時、トーランス容疑者(当時42)とその一家(デニスさんも含む)はサウス・レイク・タホにあるアパートに住んでいたが、ドナさんが住んでいたアパートからわずか1マイル(約1.6キロ)しか離れておらず、しかも彼の娘、ラナさんは当時ドナさんと同じカジノに勤めていた。

その後、ローカル紙『サンフランシスコ・クロニクル』はZKから葉書(1971年3月22日付け消印)を1通受け取っており、そこには「レイク・タホ地区の松林からのぞきみる」と書かれているが、その当時トーランス一家はレイク・タホに住んでいた。

ZKはいくつかの声明文で、日本を舞台とした喜劇オペラ『ザ・ミカド』から楽節を引用しているが、トーランス容疑者は米海軍時代1955年に日本に派兵されており、その時日本人女性と短期間だったが結婚もしている。

また、彼はそれより以前の1954年、26週間サンフランシスコ湾内のトレジャー・アイランド海軍基地に勤務していたそうだが、デニスさんは、当時その人工島で『Charlie Chan at Treasure Island』(1939年)という映画が上映されていたことも突き止めている。同映画では、ドクター・ゾディアックという悪漢が登場し警察を翻弄する様子が描かれているという。

という具合に、デニスさんは継父の過去を詳しく調べ上げ、この他にも様々なZKとの接点を洗い出している。


点と線

しかし、なによりも筆者をアッと驚かしたのは、以下の図1、2、3である。ZKは、声明文の1つにベイエリアの地図を同封しているが、地図上のディアブロ山の頂上にゾディアック(十二宮図)を重ね合わせている。どうやら、この山を経度と緯度の中心点と見なしていたらしい。そして、声明文の終わりに「追記:ディアブロ山の記号はラジアンズと関係があり、それらに沿って少しずつ動く」と書いている。

ラジアンは、別名弧度とも呼ばれ、半径長の円弧のなす角で、1ラジアン≒57.3°である。米国でもラジアンなんていう言葉を知っている人は少ないらしいが、数年後、ガース・ペンという男性が面白い発見をしている。地図上でサンフランシスコとヴァレホ近郊で起きたゾディアックによる殺人事件の現場とディアブロ山頂とを線で結びつけると、ちょうど57.3°の角度、すなわち1ラジアンを描いていたのだ(図1)。


ゾディアック図1


デニスさんは、ZKが追記にラジアンではなくラジアンズと複数形を使っていることに着目し、ペン氏のラジアン説をもとに、継父が1960年代後半に住んでいた住所や利用していたキャンプ・サイトの位置を地図上にマークして見たところ、図2のように複数のラジアンを区切るライン上にすべて並ぶことを発見した。


ゾディアック図2


デニスさんは、さらに踏み込み、新聞記者ロバート・グレイスミス氏の著作本『ゾディアック』でリストアップされているZKに殺害された疑いがあるとされる犠牲者たち、及びデニスさんがZKが絡んでいる可能性があると考える他の未解決殺人事件の犠牲者たちの死体発見場所を各々地図上にマークしてみたところ、図3が示す様に10体のうち約8体の割合でZKのラジアン線と重なることも発見している。


ゾディアック図3


実際、ZKはその声明文で37人(警察が確認できているのは5人だけ)を殺害したと告白していることを考えると、デニスさんのこれらの発見は重要な意味を持っているのかもしれない。単なる偶然、またはデニスさんのこじつけと考えるには余りにも規則性がある。


待たれるDNA鑑定結果

彼のサイトの掲示板では、懐疑派も含め様々な意見や憶測が飛び交っているが、皆FBIの発表を首を長くして待っているようだ。掲示板で誰かが例のグロ過ぎてCBS13ニュースが放送を見合わした写真のフィルムについて質問していたが、デニスさんは被写体は血まみれでしかも「顔の無い」男性の死体で、フィルム丸ごと1本、死体を様々なアングルから撮ったものだったと答えている。

デニスさんは、2000年10月、数ヶ月かけて集めた証拠を持って、カリフォルニア州の首都サクラメントを訪れ、FBIの捜査官、ケン・ヒットマイヤー氏と面談している。その結果、継父のDNA鑑定の話が持ち上がったそうだが、サンフランシスコ市警の協力が得られず頓挫したらしい。

今回は、十分な状況証拠をデニスさんが提示したというので、FBIによるDNA鑑定の運びとなったようだが、前回のようなことがないよう祈りたい。

ソース

ゾディアック事件シリーズ

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2件のコメント

[C84]

興味深い続報ですね。
起こった事件軍は悲惨ですが、このような追跡調査は好きです。
ところで、radian という角度の単位ですが、
理系(工業系寄り?)の人なら結構知ってると思います。
実際工業高校ですでにradian の単位を使っていましたし。
文系とか物理っぽい事に無関係な場合は一生使わないかも・・・。
P.S.
ZKをZDと誤記してる箇所がありました。

[C85] Re: 84

誤記のご指摘ありがとうございます。
さっそく、訂正しました。

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