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中国が技術大国として君臨する日(米研究)

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[アメリカ発] 米ジョージア工科大学は1980年代半ばより世界33ヶ国の技術力を評定するため、様々な関連データを収集、分析しているが、今年1月、その最新版「High Tech Indicators: Technology-based Competitiveness of 33 Nations 2007 Report」(略称「HTI-2007」)を公表した。このレポートの共著者たちは、第二次世界大戦以降、世界経済の牽引役を勤めてきた米国が、まもなく中国と互角にその地位を争うことになるだろうと予測している。

以下はこれら共著者たちの見解を第三者が書き上げ、同大学のニュース・リリースとして公開しているものである。ただし、これは米国対中国のスタンスで書かれたものであることを断っておく。()内の日本関連のデータは、当ブログ筆者が独自に挿入したものだ。

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中国はこれまで、低価格で工業製品を生み出す国と見られることが多かったが、同レポートの「ハイテク指標群」から、中国がもっと大きな野心を抱いていることは明らかだ。近い将来、中国は基礎科学と技術開発の分野で米国を追い抜き、製品やサービスの質を向上させ、世界市場に売り込みをかけて来るだろうと予測されている。

「ほぼ一世紀ぶりに、この地球上に基礎科学とそれを応用して製品を生産・販売する拠点が2つ現れるということです」と、レポートの共著者の一人、ニルズ・ニューマン氏は語る。「第二次世界大戦後、アメリカ合衆国はグローバル・エコノミーの原動力の役割を勤めて来ました。しかし、今や我々はこの国で開発され商品化されたものではない技術製品が市場に出回るという事態に直面しています」

ジョージア工科大学の「ハイテク指標群」分析では、33ヶ国をその「技術水準」指標ーー各国のハイテク製品輸出能力を示すアウトプット要素ーーを相互に比較してランクづけしている。また、将来の技術水準向上のためのインプット要素として、「国家的志向」、「経済社会基盤」、「技術インフラ」、「生産設備」の4つの指標も算出されている。これら5つの指標はどれも統計データと専門家の意見をスコア化し算出される。(各指標の定義、データ収集源、スコア化の手法については「HTI-2007」を参照のこと)

33ヶ国の「技術水準」の変化を示すグラフからひときわ目立つのは、中国が過去15年間にわたり「苦境に陥っていた状態」から技術立国になったことを示す長い上昇ラインだ。

以下のグラフは、33ヶ国のうち上位7ヶ国(米国、中国、ドイツ、日本、そしてアジアの虎<韓国、シンガポール、台湾>)に絞ったものだ。縦軸は「技術水準」のスコアを示し、横軸には上記4つのインプット要素の平均スコアが示されている。


CHANGE IN COMPETITIVENESS 1993 - 2007


2007年度の統計を見ると、中国の「技術水準」は82.8となっている。これに対し、米国は76.1、ドイツは66.8、そして日本は66.0である。ほんの11年前、中国のスコアがわずか22.5であったことを考えると飛躍的な成長である。米国が頂点に達したのは1999年で、スコアは95.4であった。(一方、日本は1996年に頂点<93.9>に達している)

「中国は、確かに世界経済の景観を変えてしまいました」と語るのは、このリサーチを実施した「Georgia Tech Technology Policy and Assessment Center」の共同ディレクターであり、レポートの共著者の一人でもあるアラン・ポーター氏である。「中国には低賃金の労働力という強みがあり、技術向上のため尽力もしています。これに加え、同国では研究開発がますます強調されるようになっていることを考えると、他の国々にはあまり余地が残されていないと言えるでしょう」

米国と日本の両国は、絶対尺度ではそうではないが、中国やアジアの虎3ヶ国が急成長したことにより、相対的な「技術水準」が落ちてきている。また、欧州連合を27の独立国としてではなく1つの統一体として見た場合、米国は追い抜かれてしまっている。

「中国は我々が算出したすべての指標で躍進しているのです」と、ニューマン氏は言う。「中国は、他の国々に比べて相対的に伸び続け、途中でつまずく様子もありません。急激な成長を見せており、成長が横ばいになるきざしもありません」

ほとんどの先進国は一つの指標で少し上昇したかと思うと、別の指標では少し下降するといったぐあいに、一種の平衡状態に入っている。しかし、中国は中断なく躍進を続けているという。

最近の統計を見てみると、技術製品の輸出総額ーー「技術水準」の主要な構成要素ーーでは、中国は米国にわずかに「丸め誤差」程度の1億ドル(約106億円)分しか負けていない。もし、この傾向が続くなら、中国は間もなく同輸出総額で米国を追い抜くことになると、ニューマン氏は指摘している。

科学者やエンジニアは、技術的競争力を維持するための研究開発を掌るため必要不可欠な人的資源である。現在、中国の科学者やエンジニアの数は米国の半分以下だが、この差もだんだんと縮小されると見られている。なぜなら、中国はこれら人材の養成に力を注いでいるからだ。一方、米国では科学者やエンジニアの養成が遅れており、9/11テロ事件以降、外国人研究者の移民許可が下りにくくなっているため、ますます遅れを取り戻すことが困難になっている。

これら人材を増やして行く事で、中国が今後も技術の革新能力を高めていくことは目に見えているが、すでに同国は研究開発の分野でも頭角を現しつつある。ナノテクノロジーがそのよい例で、この分野での論文は中国発信のものが一番多い。

2007年度のインプット指標では、中国は米国よりも立ち遅れている。「国家的志向」では、中国のスコアは62.6なのに対し、米国は78.0だ。「経済社会基盤」では、中国の61.2に対し、米国は87.9だ。他の2つの指標でも、中国は米国に遅れており、「技術インフラ」では、60.0対95.5、「生産設備」では、85.2対93.4となっている。(日本のスコアは、順番に75.7、71.2、68.8、87.2となっており、いずれも中国よりも大きく米国よりも小さい)

それでも、中国はそのインプットスコアも劇的に伸ばして来ており、これも同国が将来さらに強い技術的競争力を持つであろう事を予告するものである。

「40歳の大人が12歳、といっても背丈は自分と同じ子供とバスケットボールを競っているようなもんです。今は経験がある分、大人のほうが少し有利かもしれませんが、それもいつまでも続くものではありません。米国にとって将来の見通しはよくありません」とニューマン氏は語っている。

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以上がニュース・リリースの内容だ。迫り来る中国の脅威をひしひしと感じさせられる論調であるが、これは産経新聞・上海支局長の前田徹氏が月刊リベラルタイム(2007年11月号)に寄稿した小論「『安かろう、悪かろう』を脱却できない中国製品」の論調と好対照である。同氏は、中国産業界のハイパーな過当競争と品質管理意識の欠如をあげて、「メイド・イン・チャイナ」のラベルが世界市場を制覇することに懐疑的である。

しかし、かつて1960年代ごろの日本製品も「安かろう、悪かろう」という風評を欧米で浴びていた。それが、20年後には「メイド・イン・ジャパン」は世界でも最高品質を誇るブランドに成長していた。この時、自分たちの技術力を過信していた欧米人は地団駄を踏んで悔しがったのではないだろうか。そう遠くない将来、中国の躍進で日本が同じ轍を踏まないとは限らない。

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